子供は概して、メガネをかけることをイヤがるものです。
しかし子供にとってのメガネはファッションではなく、成長途上で生じている視力の発達にかかわる問題を治療するために欠くことのできない、「矯正道具」なのです。
子供は小学校低学年くらいまでは遠視であることが多いものですが、メガネをかけてこれを矯正することで、脳内で像を的確に結ぶ「見る力」を養うわけです。
乱視や強い近視の場合にも同じことが言えます。
メガネをかけることで脳の適切な発達を助けているのだということ、子供の幸せな将来のための大切な治療なのだということを、子供にもわかるよう、根気強く語りかけていく必要があります。
もちろんそのためには、親が眼科医とよく相談して適正なメガネを選ぶ必要がありますし、親自身がメガネによる矯正の意味を先立ってきちんと理解しておく必要があります。
親が眼鏡店に行って子供が喜びそうなファッショングラスを適当に買い与えるのは厳禁と心得ておきましょう。
ただし心因性視力障害の治療のため、例外的に「度の入っていないメガネ」を着用させるケースがあります。詳しくは 心因性視力障害~子供の心のストレスが原因。 をご参照下さい。
また、子供がメガネをかける時間についても注意が必要です。
軽い近視ならばかけ続けている必要はないですし、もしメガネをかけることで子供が目の疲れをいつまでも感じるようであればメガネによって「過矯正」となっている可能性もあります。
とくにメガネをかけはじめの頃は子供の様子をよく観察し、疑問点があれば医師に相談するようにしましょう。
また特に異常が見られない場合でも、眼科医の指導のもと最低半年に一回程度は定期診断を受けるようにするのがよいでしょう。
また子供にとってのコンタクトレンズ装用は、とりわけ小学生以下の場合にはおすすめできません。
装着するための眼の組織自体がまだ未発達ということもありますが、なによりもコンタクトレンズは毎日のケアや装用時間の問題があり、子供がそれをきちんと守れるはずがないことがほとんどのためです。
子供のコンタクトレンズ装着は基本的に衛生面の問題をクリアできないため、目のトラブルが万一あっても、本人も気づきにくいまま時間がたち、子供の目に関わる異変の発見もどうしても遅れがちになってしまいます。
もっとも、バレエ・ダンスをやっている子供がどうしても必要な視力を確保せざるを得ないような、例外的ケースとして医師と相談の上、装用時間を決めてコンタクトの使用が必要なケースもあります。
しかし普段の塾通いなどでは、眼鏡をかけさせて対応していくべきでしょう。